明日の餌代に苦しんだ日々
保護犬・猫の“最高の仮住い“を目指して

特定非営利活動法人 犬と猫のためのライフボート

動物愛護団体として、国内で最大級の譲渡数をほこる千葉県・柏市の『特定非営利活動法人 犬と猫のためのライフボート』。21年間の活動を通して、1万7,000頭以上の命を救ってきました。寄付は、犬や猫の保護活動にどのような変化をもたらしたのでしょうか。代表の稲葉友治さんにお伺いしました。

(代表の稲葉友治さん)

紆余曲折の日々を乗り越え、国内最大級の動物愛護施設に

ライフボートが誕生したのは1998年。動物好きだった前理事長が、仕事で成功した自己資金を「動物愛護のために使いたい」と考えたことから始まったそうだ。最初は千葉県にある自宅で保護活動をスタートしたが、近隣の保健所に足を運ぶと、「どこの誰かわからない人に動物たちは譲れない」と、門前払いを食らう。仕方がないので、本州全ての保健所に連絡をしたところ、唯一譲渡してもらえたのが岐阜市の保健所だった。当時は、千葉県から車で5〜6時間かかる道のりを、犬・猫を連れて何度も往復する日々を過ごしたという。

(前代表の一軒家から始まったライフボート。国内最大級の施設にまで拡大した)

その後、山梨県や福井県、千葉県と徐々に受入先が増え、譲渡会を開く場所は、受け入れ地域の市役所から、都内や関東近郊の住宅展示場内スペースまで拡大。設立から10年ほどで譲渡数は1,000頭を超えた。現在は1日平均2〜3組、年間約1,500組の里親希望の家族が訪れている。1,300頭ほどの譲渡が行われており、その数も施設の大きさもいつの間にか国内最大級となっていた。稲葉さんは、そんな前理事長の想いを引き継ぎ、2011年に理事長へと就任した。

あくまで“仮住まい” ここは泥臭い部分を担う場所

現在、ライフボートのスタッフは26人。全ての部屋の掃除を行い、一頭ずつ体重を測って全身をチェックし、症状次第では獣医師の診察を受けて薬を飲ませる…。こういった基本的な世話を、スタッフたちは毎日繰り返す。

(犬・猫たちの健康チェックは慎重に行う)

「犬や猫と触れられて『楽しい』『うれしい』だけの現場ではありません。正直、何部屋掃除しても、世話しても、『まだいる…』という事実に、疲弊してくる時もあります。でも、命にかかわるので、やらなくてはいけないし、健康についての判断ミスも許されません。まさに、犬猫の世話を最後までやり遂げる覚悟と忍耐力が問われる環境です」。施設では、犬舎・猫舎と分かれて数百頭が暮らしている。中にはエイズや白血病などの治る見込みがない病気を持った状態で保護し、施設内で最期まで世話をしてみとることも。ただ犬猫と楽しく触れ合うことだけが、仕事ではないのだ。

(犬・猫たちが快適に過ごせるよう、毎日掃除を行う)

そういった過酷な状況ながらも、活動を続けていくためのモチベーションは、犬・猫に対する愛情だ。「里親さんに渡す時はうれしいです。新しい家庭で幸せにしている様子を教えてもらうと、自分の居場所を見つけたんだなと、ホッとしますね。やっぱり、家庭にはかなわないです。毎日触れ合っているとかわいいですが、あくまで、ライフボートで担うのは“仮住まい”。私たちは割り切ることが大事です。スタッフには、『ここは動物をかわいがるところではなく、飼い主さんにかわいがってもらうための泥臭い部分を担うための場所だよ』と、と伝えています」。

(里親となった方から、幸せそうな猫たちの写真が届くことも)

今日どう乗り切るかの毎日を、寄付が変えてくれた

ライフボートが、Yahoo!ネット募金に掲載を始めたのは2006年。活動をスタートした当初は一般からの寄付は受けず、里親への譲渡時に受け取る1頭2万円の譲渡代のみを活動資金にしていた。「自力でなんとかしたい」と思っていたが、世話する数が増えるにつれ、このままでは運営できないほど厳しい状態に陥る。「寄付をいただく前は、毎日が本当に厳しくて、餌もなるべく安いものを混ぜて使ったり、トイレ用の砂もシュレッダーにかけた新聞紙で代用したりという状況で、日々をなんとか乗り切っていました」。

(当時の過酷だった状況を振り返る稲葉さん)

そういった状況は、Yahoo!ネット募金を取り入れたことで徐々に改善されていった。「特に思い出深い大きな買い物は、『買い替えるなんて夢のまた夢』だと思っていた施設用のエアコンを、一度に2台も購入できたことです。さらに、その後も寄付を安定的にいただけているおかげで、移転や増築を行い、より多くの犬・猫を受け入れることができるようになり、スタッフも増員することができました。明日の餌代にも困っていた時代からは考えられないくらい環境を整えることができています。寄付をしてくださる人は、そのお金でもっと良いお肉を食べられるかもしれないし、いつも飲むコーヒーがLサイズになるのかもしれない。そんななか、寄付というアクションを起こしてくださって、数ある団体の中でも私たちを選んで、申し込んでくださったことに心から感謝しています」。

譲渡が難しい成犬たち ネットを通して発信

現在の課題は、臆病な性格のまま大人になってしまった成犬たちだ。保護された時の環境から、人間に対して恐怖心を持ち、うまくコミュニケーションが取れないまま大人になってしまった犬たちの譲渡は難しいのが現状だ。

(臆病な成犬たちは、譲渡が難しい)

稲葉さんは、そんな成犬たちが譲渡につながるよう、ネットを通して彼らの良さをこまめに発信する。「いつもは臆病で吠えてしまう成犬たちも、いつも世話をしているスタッフにはリラックスした姿を見せているんです。最近ではそんな様子を載せたインスタグラムや、散歩の様子をスタッフが記録する『おさんぽ日記』の内容をホームページで公開しています。少しでも、成犬たちの性格や普段の様子を伝える機会を増やすことで、彼らに会いに来てくれるお客さんが増えたらなと思っているんです」。

(スタッフたちが一頭ずつ散歩のたびにつけている「おさんぽ日記」)

犬猫がより自由にのびのびと暮らし、人間と触れ合える場所を目指して

現在は、寄付でトイレの砂や医薬品、餌など日々の世話にかかる費用や、スタッフの人件費をまかなっているが、今後の展開として、稲葉さんは「まずは施設を、もうひとつ作りたい」と話す。「なかなかもらわれづらい成犬たちのために、広くて環境の良い場所を用意してあげたくて」。

(スタッフにかわいがられてうれしそうな猫たち)

「そしてもっと先には、保護している犬・猫が楽しくのびのびと暮らしながらも、会いに来てくれる人間も楽しめるような場所を作りたいんですよね。遠くても一般のお客さんがライフボートを目的に来てもらえるような、地域にとっても価値があるテーマパークのような場所を目指したいです。生まれたばかりの犬・猫だけでなく、ここで長く暮らすことになる成犬たちがもっと自由に暮らしながら人間と触れ合って、本当の居場所を獲得できる場所を作りたいと思っています」。

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